所得税法が改正されるのをご存じでしょうか。
今年から副業による節税効果が激減します。
この記事では、所得税法改正による副業収入の影響やいつから改正されるのか、今後対策すべきことをわかりやすく解説します。
副業を行っている方全てに影響のある法改正です。
最後までご覧いただき、どの手段をとれば最もお得なのか確認しましょう。
所得税法改正で事業所得の扱いが変更
ここからは所得税法の変更点や改正時期を解説します。
事業所得が雑所得になるルールが追加
これまで事業所得と雑所得の線引きは、非常に曖昧でした。
そのため、雑所得を事業所得としている方も少なくありません。
今回の改正で事業所得と雑所得の明確なルールが追加されています。
以下の2点を満たすと、事業所得は雑所得と判断されます。
- その所得がその者の主たる所得でない
- その所得にかかる収入金額が300万円を超えない
順番に解説します。
その所得がその者の主たる所得でない
こちらは言葉の通り、本業ではなく副業の場合該当します。
多くの方は本業とは別に副業を行っているので、該当する方は多いでしょう。
その所得にかかる収入金額が300万円を超えない
こちらが最大の障壁です。
収入金額が300万円を超えていない場合、ほとんどのケースが雑所得となります。
副業で300万円以上稼いでいない場合の節税効果は激減です。
令和4年分以降から適用
改正案は令和4年分から適用されるため、次の確定申告は既に対象です。
今年稼いでいる副業収入が上記2つの条件を満たしている場合、節税効果を得られません。
現状は改正案だが…
所得税法改正は、現状「案」です。
しかし、これまでの歴史で国税庁の通達が覆ったことはほとんどありません。
そのため、確定と見ていいでしょう。
所得税法改正でどのような変化が起きるのか
ここからは所得税法改正で事業所得から雑所得に変わるとどのように変わるのかご紹介します。
青色申告特別控除が使えなくなる
青色申告とは、所得税(と法人税)の申告納税制度です。
最大65万円の特別控除が受けられ、大きな節税効果がありました。
損益通算ができなくなる
損益通算とは副業で赤字になった分、本業の収入が減ったとみなし本業分の課税対象額から赤字分を引ける制度です。
例えば、本業収入が500万円、副業での赤字が50万円あった場合、本業の課税対象額が450万円になります。
日本は累進課税制度を取っているので、こちらも大きな節税効果がありました。
赤字の繰越ができなくなる
青色申告事業者は、赤字を3年間繰り越すことができます。
例えば、今年の利益は-50万円、来年は100万円だった場合、赤字を繰り越して来年の収益を50万円とできます。
こちらも損益通算と同様の節税効果がありました。
少額減価滅却資産で経費に落とせなくなる
青色申告事業者は、30万円未満の少額減価償却資産を年間合計300万円まで一括で経費計上できます。
一方雑所得の場合、10万円未満のものは消耗品として一括計上できますが、10万円以上のものは購入額で経費計上できません。
毎年、購入金額の一定割合で減価償却費として経費計上する必要があります。
例えば、副業用にパソコンを10万円で購入したとします。
パソコンの法定耐用年数は4年ですので、
10万円÷4年=2.5万円しか1年で経費計上できません。
※法廷耐用年数:資産として使用できる期間のこと、この間使い続けるので、こちらの年数で金額を割って経費計上する
また、10万円以上20万円未満の場合、減価償却の特例制度があり、3年間で償却できます。
身内の給料を専従者給与に出来なくなる
青色申告事業者は、配偶者や親族といった身内に対する給与を経費とできました。
例えば、事業収入が200万円、手伝ってくれた弟に10万円給与を渡したとします。
この場合、課税対象額が190万円です。
専従者給与には条件がいくつかありますが、非常にお得な節税制度でした。
今後考えるべきこと
所得税法改正の影響を確認したところで、ここからは今後の対策を2つご紹介します。
開業届を出すタイミングを気をつける
開業届を出す最大のメリットである青色申告のハードルが上がりました。
そのため、300万円を超えないで開業届を出すとデメリットのみを受けてしまう場合があります。
開業届を提出するデメリットは以下の3点です。
- 扶養に入れなくなる
- 失業保険を受けられなくなる
- 帳簿付けが面倒になる
これから開業届を出す場合は収入が300万円を超えてからにしましょう。
せどりなどで収入を増やす
今回の改正案で事業所得の基準になっているのは「収入」です。
そのため、せどりなど収入が大きくでる副業を始めると簡単に突破できます。
利益が少なくても(マイナスでも)事業所得になるとメリットがあるのでギリギリ300万円にとどかない場合は検討しましょう。
税金の勉強は継続して続けよう
今回の所得税法改正は、副業を行っている方全員に影響があります。
このように、知っておくだけでお得・損しない情報はたくさんあるので継続して勉強することが大切です。
まずは今後の方針を定め、所得税法改正に備えましょう。
副業を行なっている方やフリーランスの方はインボイス制度についても確認しておきましょう。
インボイス制度に対応しないと継続案件を打ち切られるなどの危険が増します。
2022/6/26〜
社会人4年目
プログラム歴9年/Webライター歴3年
副業収入が安定してきたのでストック型ビジネスを行いたく始めました。
Webライター、プログラミングスクールメンターを行っています。
本業は都内企業でデータサイエンティスト。
Pythonの自動化、データ分析、VueのWebアプリ開発が得意です。
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